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HOME > 自治会・町内会情報 > 注目事例 > 町内会の関係人口! 担い手不足に「特別会員」という一手【京都市 伏見区 直違橋8丁目町内会】

自治会・町内会情報

町内会の関係人口! 担い手不足に「特別会員」という一手【京都市 伏見区 直違橋8丁目町内会】

自治会・町内会の担い手不足の時代に、必ずしも住んでいる場所にこだわらず、町内会コミュニティに興味を持ってくれる人を「特別会員」として制度化した、京都市伏見区の「直違橋(すじかいばし)8丁目町内会」の事例を紹介します。

町外の人も一緒に集う町内会!?

ある晴れた日、「直違橋8丁目町内会」の皆さんが集う梅野サンルームを訪れました。
たくさんの絵画が飾られる明るい雰囲気の場所には、コミュニティの温もりが感じられます。

ここに集う皆さんは、町内に住む会員の方だけではありません。実は町外の方も数名いらっしゃいます。
中には大学生の参加者も!

直違橋8丁目町内会の皆さん

直違橋8丁目町内会の皆さん

世代や属性の異なる皆さんが楽しそうに笑う「直違橋8丁目町内会」は、どのように運営されているのでしょうか?
中川会長(令和7年度時点)をはじめ、町内会の皆さんにお話を聞きました。

衰退の危機感から、町内会の関係人口を制度化!

 「特別会員」という町外の会員

「直違橋8丁目町内会」の加入世帯は約20世帯ほどで、今後も減少が予想される状況です。
加入者減少や担い手不足という多くの地域が直面している状況と同様、5年後・10年後を見据えると町内会存続への危機感があったそうです。

中川会長の写真

笑顔で話してくださる中川会長

中川会長:町内に住んでいても無関心な方々に加入を勧めるよりも、たとえ住んでいるのが町外でも、この町に関心を持ってくれている方々に関わってもらいたいと考えました。
そこで町外の方々や、ワンルームマンションの大学生などにも関わってもらえるように「特別会員」制度を着想しました。


▶特別会員
・会費無料
・役員の選挙権、被選挙権を持たない


新たな加入促進策に、反対はなかったのか?

中川会長:最初に町内の方々に「特別会員」の着想を話した時は、皆さんポカーンとされていました(笑)
でも、すでにこの場所(梅野サンルーム)は、コーヒーを飲む会、おやじ会、女子会、水彩クラブなど、さまざまな交流の拠点となっており、町外の方々とも関係性が育まれていました。なので「町外の〇〇さんが加入してくれたら嬉しいですよね?」と伝えると、町内の方々も理解してくれました。

梅野サンルームの外観

カラフルな看板が目を引く梅野サンルーム

「特別会員」は、臨時役員会を経て制度化され、町外の方々に門戸を開くという新しい在り方がスタートしました。

「特別会員」制度の導入メリットは?

「直違橋8丁目町内会」には、5名の方が特別会員として加入しています。
通常、町内会活動は加入者が払う町内会費で運営されます。特別会員は会費を徴収しない会員種別なので、受け取ってばかり(いわゆるフリーライダー)になってしまわないのでしょうか?

「特別会員」制度の導入メリットを聞いてみました。

会員の皆さんの日常の一コマ

会員の皆さんの日常の一コマ

1、特別会員から情報やサービスを受け取っています!

中川会長:特別会員はフリーライダーではなく、むしろ逆ですね!
特別会員の方々から、たくさんの情報やサービスを受け取っていると思います。
例えば、イベントのアイデア、地域の歴史についての知識、ネットワークなど、本当に受け取ってばかりです。

なので今度は、特別会員の方が居住する地域の町内会が、私たちを頼ってくれたらいいなと。
そうすれば、恩返しできていいなと思っているところです。

2、広域的な助け合いや備え、そのためのイベント!

中川会長:特別会員は近隣に住んでいないので、災害時に助け合える訳ではないと考えるかもしれませんが、むしろ広域的な助け合いが可能になると想定しています。

広域的なコミュニティづくりにおいて大切なのは、日常の助け合いや備えです。そのための基礎となるようなつながりを、イベントや行事を通して形成したいと思っています。
よその地域の人たちにも一緒に関わってもらったり、遊びに来てもらえるようにしています。

モーニングコミュニティ

定期イベントでコーヒーを淹れる皆さん

3、引っ越した元町内会員とつながり続けられる!(関係人口)

中川会長:「特別会員」制度は、町外に引っ越した元町内会員とも関係性を継続できる仕組みです。引っ越しと言っても、必ずしも遠方ではなく、近隣の町におられる場合もあります。
そのような場合には、町内会の関係人口として、関わり続けてもらうことができます。

「特別会員」として関わる大学生

「直違橋8丁目町内会」には、拠点である梅野サンルームのあるマンションに住む大学生も関わっています。
どのような経緯で町内会活動に関わるようになったのか、特別会員の大学生に聞いてみました。

「特別会員」の大学生の声

特別会員の大学生:この地域に住むにあたり、不動産屋でコミュニティのある住まいはないかと尋ね、このマンションを紹介されました。

ある時大学のゼミの課題で地域について調べる機会があり、大家さんに町内会について教えてもらったのですが、ちょうど町内会で大きなイベントの準備が進んでいるタイミングでした。それで町内会に関わるようになりました。
町内会の活動では、住んでいる地域のことを知ることができるし、皆さんの雰囲気がリラックスできて好きです。

特別会員の大学生:僕のように、住んでいる地域に興味があったり、「何かしてみたいけれど、きっかけがない」と心の中で思っている学生は、他にもいるのではないかと思います。

卒業後もつながり続けられる可能性

きっかけは大学のゼミの課題だったとのことですが、今では町内会に溶け込んでいるようです。
大学生は卒業や引っ越しに伴い、関係性が数年で終わってしまうと思われがちですが、「特別会員」制度によって、卒業して転居したとしても、末永く町内会と関わり続けられる未来があるかもしれません。

「やりたい」を育んだ町内会活性化のかたち

さて、新たな在り方を導入している「直違橋8丁目町内会」ですが、この町内会はどのように活性化したのでしょうか?

初めて町内会長の役が回って来て…

実は中川会長はこのまちの出身ではなく、13年前に転入して来たそうです。
長らくは役職が回ってくることはありませんでしたが、令和7年度に初めて町内会長の役が回ってきたといいます。

昔の資料を見る様子

昔の資料を見る様子

中川会長:最初は町内会運営に興味はなかったんです。でも町内会長の役が回って来て、町内会の昔の資料などを色々見ていたら興味が湧きました。
梅野サンルームを中心としたコミュニティもすでに育まれていたので、町内会の皆さんと一緒に何かできるのではないかと、可能性を感じました。

コロナ禍を経て縮小していた町内会行事…

中川さんが会長になった頃、コロナ禍を経て、町内会の行事は衰退していたそうです。
地蔵盆はお参りだけになり、行事は減り、集まる機会が少なくなっていました。

その一方で、町内の皆さんと関わる中で分かってきたのが、町内会活動が縮小していくことを残念に感じ、もっと活発に活動したいと思っている人たちもいるということでした。そんな時…

中川会長:資料を見ていて、もしかすると「直違橋8丁目町内会」は130周年なのではないかと気づきました。銀行で口座資料を確認し、明治28年設立だと正確に分かりました。
せっかくの130周年なので、何かしようということになったんです!

130周年記念祭「キセキ130」の開催!

多くの方が関わりながら準備を進め、令和7年11月、130周年記念祭「キセキ130」を開催しました。
タイトルである「キセキ130」は、特別会員の大学生が提案したそうです!

130周年記念祭のプログラム

130周年記念祭のプログラム

皆さんのモチベーションは、どうやって開花したのか?

皆さんのお話をじっくり聞かせてもらっていると、中川会長が町内のさまざまな価値に気づき、皆さんのモチベーションが花開いていったことで、一連の活発な動きが生み出されたことが分かりました。
そこで、中川会長に町内会の運営のコツを聞きました。

中川会長:関わる人たちの「やりたい」という芽を否定しないようにすることが大切です。思い通りにコントロールしようとすると、相手は窮屈に感じて上手くいかないと思います。
何か提案があれば、小さなことでも「やりましょう!」と答え、提案が実現する嬉しさを感じてもらえるようにしました。

深草賛歌を歌う皆さんの写真

深草賛歌を歌う皆さん♪

中川会長:興味のある方は、毎月第2日曜に開催している「モーニングコミュニティ」に遊びに来てください。
何か面白い出会いがあるかもしれません。

【伏見区、加入22世帯】
取材:令和8(2026)年3月12日

【取材後記】 一人ひとりの持つ潜在的な可能性に目を向けて…

今回「直違橋8丁目町内会」を取材させていただき、一人ひとりの持つ潜在的な可能性に目を向けていくことの大切さを、改めて感じました。

町外の方に門戸を開く「特別会員」制度や130周年イベントの開催など、大きな成果に目が向きがちですが、それらは日常のやり取りや、信頼関係の中から生まれ出たものでした。
関わる皆さんの想いやモチベーションが損なわれることなく活かされ、笑顔と共に、楽しみながら形になっていったプロセスが素敵な町内会でした。

執筆:まちづくり協働コーディネーター 田村祥代

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