住民同士が一緒に取組む、花ともサークル
中京区の藤和シティコープ西洞院は、昭和59(1984)年に建設された、10階建ての約60世帯のマンション。入居者の高齢化が進む中でも、入居者同士がつながり、見守り合うことで、独居高齢世帯でも安心して暮らせるマンションを目指しています。管理組合の中山理事長にお話を伺いました。
きっかけは、誰が住んでいるのかわからない、という声
中山さん:このマンションは、居住者同士のコミュニケーションの機会が少なく、隣近所の付き合いがあまりありませんでした。入居者から「誰が住んでいるのかわからない」、「もっと交流ができたらいいな」という声もあり、何かできないだろうかと思ったんです。そこで、約10年前、玄関外溝のサツキが枯れて全面取替となったタイミングで、当時の理事会の有志で「花ともサークル」をスタートしました。マンションの玄関先と、駐車場の一角に花壇を作り、季節ごとの花を植えて楽しむ活動で、現在も月2回、植物の世話をしています。マンション住民なら誰でも参加できますが、高齢者が中心ですね。でも、小さいお子さんのいる世帯も参加されているので、子どもが来て一緒に水やりをしてくれます。始めは、ただ植物の世話をすることが目的だったのですが、「メンバーが休んでいたら気になる」という話にもなるので、結果的に高齢者の見守りにつながっていますね。近所の人も、玄関先の植物を見てくれているようで、通りがかりに声をかけられます。
中山さん:最近、マンション駐車場のうち、もともと受水槽のあった場所が空きスペースになったので、イスとテーブル、パラソルを置いて『憩いの場』を作ったんです。この場所を使って、健康体操や地蔵盆を行いたいと考えました。町内会の地蔵盆はいつも、町内にある会社の道路沿いの軒下で行っていましたが、場所が狭く密になるため、広い場所で行えないかと声が挙がり、理事会で検討した結果、マンション駐車場で開催できることになりました。令和5年度はコロナ禍の影響で行う事が出来ませんでしたが、マンション内にも7人ほど子どもがいるので、来年できるのを楽しみにしています。
中山さん:管理組合の理事会は、役を担える25世帯で5人ごとのグループを作り、1年任期で回しています。5年で一巡する流れですね。このほかに、常任理事等として2~3名にも協力いただいています。管理組合の理事長は、自主的に動けて主体性のある人が向いていると思いますね。新たに入居された世帯には、子育て世帯であれば地蔵盆、高齢世帯であれば健康体操というように、まずその世帯に魅力に思ってもらえる町内会や自治会の行事をお伝えするようにしています。
お年寄りも安心して暮らせるまちに
中山さん:マンションがある本能学区では、令和4(2022)年9月から「おとしより110番のいえ」を実施することになりました。これは、元気がない高齢者を見かけた時「おとしより110番のいえ」に行くと、学区社会福祉協議会から地域包括支援センターにつなげてもらえるという取組です。私たちのマンションでは、各階1世帯ずつ学区社協に登録し、現在登録している7世帯でグループを立ち上げて活動しています。管理会社の管理人にも協力頂き、玄関前にステッカー(右図)を貼っています。この取組の魅力は、年2回、学区社協の勉強会がある事です。さらに、マンション入居者の中で支援が必要だな、と思われる3世帯とは、事前に交流会を行って親しくなりました。いざという時に同じマンションに住む人が助けてくれることがわかるだけでも安心感があるんじゃないかな。今後、残っている2つの階からも「おとしより110番」に登録してくれたら嬉しいですね。
グループでは、令和5(2023)年4月から新たに「おきらく体操会」という取組を始めました。マンションの敷地内で、マンション住民と同町内の住民が一緒になって体操を行います。月1回ですが、毎回約10名の参加者があり、高齢者の見守りとなっています。
中山さん:水処理技術者でしたから、マンションの給水管・雑排水管の水漏れやその他、クレーム連絡票の対応などが得意です。その経験を活かして、入居者のいろんな声や困りごとを聞くようにしています。長く地域活動にも関わらせてもらっているので、中京区や他学区の活動事例を積極的に取り入れて、良いと思った事例はできるだけ取り込むようにしています。
【中京区、加入約60世帯】
取材:令和5(2023)年8月16日
【取材後記】
長く地域活動に関わられているため、工夫されてきたことがまだまだありそう。ご自身のこれまでの経験を活かしつつ、他の地域の事例も積極的に集められており、まず行動される姿から、「何かあれば中山さんに相談しよう」という雰囲気につながっているように感じました。