自治会活動ちょこっとサポート隊『ちょこサポ』
伏見区の淀下津町連合自治会は、令和5(2023)年4月、できることで気軽に自治会活動をサポートする「自治会活動ちょこっとサポート隊(通称『ちょこサポ』)」を設立し、行事のお手伝いなどで役員の負担を軽くしたり、住民同士が交流できる楽しい活動を生み出したりされています。令和5年度町内会役員と『ちょこサポ』の皆さんにお話を伺いました。
きっかけは、住民同士で交流する楽しさ
中村さん(『ちょこサポ』代表):私は、平成20(2008)年に今の地域に引っ越してきてから、運動会に出場したり、地域の行事に参加したりして、徐々に地域の皆さんと仲良くさせてもらってきました。そして、8年後に副会長、翌年に会長をさせてもらった時には、新しいことにも取り組ませてもらいました。例えば、副会長の時には、当番の組の組長だけで行っていた公園清掃を、当番の組の全世帯と有志にも呼び掛けることにしました。今では、会長OBや有志の方々も手伝ってくれるようになり、公園清掃が交流の場になっています。また、会長の時には、淀や久御山町で栽培されている「淀大根」を使い、幅広い世代が参加できる『大根炊き大会』を企画しました。料理上手な女性会の皆さんに調理を担ってもらい、お年寄りにも子どもにも大盛況のイベントになりました。
しかし、その後のコロナ禍で、地蔵盆や子ども神輿などすべての自治会活動がストップしてしまいます。私はその時、役員ではなかったのですが、「コロナ禍でも何か楽しい取組ができないだろうか」と考え、知人と『サンタクロースがやってきた』を企画しました。これは、サンタクロースとトナカイに扮した私たちが、子どものいる家庭にプレゼントを渡しに行く、というものです。子どもたちがとても喜んでくれたのですが、それ以上に、訪問した私たちの方が子どもたちの純粋なリアクションに癒され、元気をもらいました。
役員じゃなくても、何かやりたい人がいる
中村さん:こういった経緯があり、「もっと自治会活動に関わりたい」と考えるようになりました。役を負担に感じている人がいる反面、何かしたいけど役員じゃないからできない人がいる、というミスマッチをなくしたかったんです。
橋本さん(『ちょこサポ』メンバー):私は、中村さんの翌年に会長になりました。中村さんが仲間たちと企画した『サンタクロースがやってきた』が大変好評だったので、自治会にはこういう人たちの力が必要だと思いました。淀下津町連合自治会は5つの町の連合体です。各町2名いる役員は、2年任期ですが1年に1名ずつ選出され、1年目は副会長、翌年に会長を担いながら交替しています。連合自治会は、5つの町から各2名の合計10名の役員と、各種団体を担当する約18名の運営委員で構成されています。中には、地蔵盆や縁日、子ども神輿などの行事の運営を負担に感じている役員もいらっしゃるようで、もっと若い人に関わってほしいという声もあります。
中村さん:しかし、役員でなければ会議に出席する機会がなく、私も関わり方がわかりませんでした。そこで、子どもなどを通してつながりのあった有志5名で話し合い、毎年交替していく役員をサポートするグループを立ち上げられないかと考えました。地域コミュニティサポートセンターにも何度か相談させていただき、地域の皆さんの賛同をいただきやすい資料を作るなど準備を進め、令和4(2022)年9月の連合自治会役員会で提案してみたんです。
山田さん(令和5(2023)年度役員):私は、令和4(2022)年度から役員をしており、役員会で中村さんが提案されたことをよく覚えています。自治会の課題と解決策をわかりやすい資料で説明されたので、役員同士が納得して「これでいこう」と意見がまとまりました。総会でも承認され、令和5(2023)年度から運営委員の1つに『ちょこサポ』が加わることになりました。
『ちょこサポ』スタート、コロナ後の自治会活動も再開
中村さん:自治会の皆さんに受け入れてもらえ、堂々と活動できるようになって嬉しかったですね。早速4月に、メンバー募集のチラシを回覧したところ、ここにいる橋本さんを含め2名の応募があり、元々のメンバーと合わせて7名で活動をスタートさせました。
笹木さん(令和5(2023)年度役員):私も令和4(2022)年度から役員をしており、コロナ禍で行事ができない中でもクリスマス行事をしてくれていた中村さんたちを見ていたので、大いなる期待をもって『ちょこサポ』を承認しました。でも、コロナ禍でこれまでの自治会活動がストップしていたので、役員も初めてのことが多く、最初は何をどこまで頼んだら良いのかわかりませんでした。中村さんから「なんでも言ってほしい」と声をかけてもらったので徐々に相談するようになり、結局、4年ぶりに再開する行事のほとんどで『ちょこサポ』にお手伝いしていただきました。他にも、チラシの作成や印刷など、自分たちが苦手なことも率先して担ってもらえたので大変助かりました。今年は私もサンタクロースに扮して子どもたちにプレゼントを渡せたので、とても楽しい思い出になりました。
中村さん:今年の役員の皆さんが、「やるなら楽しんでやろう」というスタンスの方々だったので、一緒に活動を盛り上げることができました。基本的に、自治会活動は役員の皆さんが主体なので、『ちょこサポ』はできる人ができる範囲でそのサポートをしていくスタンスですが、今年は新しいゲームコーナーの企画運営なども引き受けました。また、行事に参加できなかった方にも当日の楽しい雰囲気が伝わるよう、写真を使った報告チラシを作成して回覧させてもらいました。楽しそうな雰囲気を伝えることで行事に参加しようと思う人をもっと増やしたいですね。役員の皆さんの負担を軽くするため、今ある活動を見直していくことも必要ですが、楽しい様子を伝えることで「やってみたい」と思う人を増やしていくことも、最終的には負担軽減につながるのではないかと思います。今後は、会長や副会長などの役員経験者や、未経験でも自治会活動に興味がある人に、メンバーに加わってほしいですね。
山田さん:今年度は、4年ぶりに行事が再開して大変でしたが、『ちょこサポ』メンバーのおかげもあって道筋をたてられました。翌年度役員の皆さんも続けていこう、と思ってもらえたら嬉しいです。
橋本さん:役を担うことは、必ず負担が増えること。だからこそ、楽しい、とか、やりがい、と思えるかどうかが大切だと思います。始めは役員をやりたくないと思っていても、やってみるとそれなりに良いことがあるので、ぜひ一度、自治会の活動に関わってみてほしいですね。
【伏見区、加入約370世帯】
取材:令和6(2024)年3月13日
- 取材後記
やりたいことだけをやったり、互いに仕事を押し付け合うのではなく、地域がもっと良くなるため、誰でも参加しやすくなるために、まずは自分たちが楽しいと思う活動を自ら実行されていました。「地域から受け取ってきた優しさや温かさを、今度は与える側になりたい」という言葉が印象的でした。