地域共生に取り組む介護施設、自治会長に
西京区南上桂自治会のエリア内に約10年前にできた小規模多機能型居宅介護施設は、自治会に加入して地域共生に積極的に取り組むとともに、役員の担い手としても活躍されています。令和6年度自治会長で、施設管理者の本多さんにお話を伺いました。
施設管理者が自治会長に
本多さん:我々はエクセレントグループの地域密着型サービス事業所で、小規模多機能型居宅介護「スイート上桂」と高齢者グループホーム「すいーと上桂」を運営しています。エクセレントグループとしては京都市内に11事業所を運営しており、私は以前は「エクセレント岡崎」(左京区)を担当していましたが、令和5(2023)年6月からこちらの施設で管理者を務めています。毎日、住まいのある伏見区から通っています。
管理者の本多さん
本多さん:赴任直後、南上桂自治会の組長さんが町費の徴収に来られました。その時、地域密着型のサービス事業所として地域共生の一助になればと思い、喜んで加入させていただいたことが、自治会に関わらせていただくきっかけになりました。施設を利用される皆さんは近隣の方ばかり。まさにこれまで地域活動を担って来られた方々なので、地域とつながりを持つことは当然、という思いでした。
その年末、「来年度は組長の番です」と言われ、令和6(2024)年度は担当組の組長をすることになりました。南上桂自治会は8組で構成されており、8人の組長の中から自治会役員を選出することになっています。しかし、会長などの3役は負担が大きく、手を挙げる人がいなかったので、「まだ赴任して半年しか経っていませんが、私でよければ会長やりましょうか」と立候補したんです。以前、住んでいる自治会でも副会長の経験があり、誰かがやらなければ、という思いもありました。会長が決まれば、他の役も決まり、役員の皆さんとLINEグループでのやり取りが始まりました。
地域活動に関わって、新たなつながりも
本多さん:役員の中には、長年この地域に住まわれており、会長を経験された方もいらっしゃったので、分からないことは何でも聞いて教えてもらいました。例えば、御霊神社のお祭りは古くから受け継がれてきた行事です。いつ何をするのか、どこに何があるのか、誰に何を頼むのかなど、一つひとつ教えてもらいました。お祭りには、事業所の男性職員も参加させてもらいました。地域の皆さんと一緒に1ヶ月前から練習し、お祭り当日は、地元の皆さんから褒められるほど活躍していました。
御霊神社のお祭り
子どもが少ない自治会ですが、外孫なども呼んで地蔵盆を開催しています。これを参考に、事業所でも手作りのお地蔵さんと数珠で地蔵盆を行い、大変喜ばれました。
南上桂自治会での地蔵盆の様子
スイート上桂での手作り地蔵盆の様子
自治会長を拝命してから様々な地域活動に関わらせていただき、この地域のことを深く知ることが出来ました。また、顔なじみも増えて、私のことも気軽に「会長さん」と呼んでくださり、地域の方との距離も縮まったような気がします。事業所としても、実際に地域の方と一緒に活動する姿を見てもらった方が、広告チラシを配るよりよっぽど知ってもらえるのではないでしょうか。
関わって気づいた自治会の課題
本多さん:南上桂自治会には新たな住宅も増えていますが、なかなか自治会に加入してもらえません。また、役が担えずに退会される方も増え、担い手が少なくなっています。年末に行っている自主防災の夜回りでは、非加入世帯エリアは実施しなくてもいいのでは、という意見も出ましたが、それでは住民同士で支えあってまち全体の安全を確保する「地域防災」の意味がないと思うんです。自治会長の任期の間に、加入を呼びかけるチラシを全戸に配布して、次の役員の方々に引き継いでいきたいと思います。
【西京区、加入約90世帯】
取材:令和7(2025)年1月21日
- 取材後記
住民の高齢化や自治会離れが進む中、自治会・町内会の役員の担い手不足は、上位課題です。企業や事業所の方々が積極的に地域と関わりを持つことで、地域活動の継続につながるとともに、地域に信頼される事業運営にもつながり、両者にとってwin-winな関係になるのではないでしょうか。